【心を奪われるほどに美しい生地】

【心を奪われるほどに美しい生地】

たまたま訪ねた人形屋さんで
見せてもらった生地です。

実はこれ、現、上皇后、美智子様が
儀式などで十二単を着られる時の
一番外側のお着物の文様。

それを実際のお召し物の大きさで
織り方などを忠実に再現して
出来上がった生地です。

下生地の美しさはさることながら、
文様(紫色の部分)の立体感、
光沢感、どこから見てもあまりに美し過ぎて
感動しました。

この文様の糸、輪郭部分をあえて荒く
織ってあるんです。
実際にはぼやかして織ることで、
遠くから見るとより美しく、滑らかに見える、
という、西洋の印象派と同じ見せ方で出来上がってます。

美術館に所蔵されていてもおかしくない逸品でした。

実はこの織りをできる職人さんが
廃業されたようです。
同じ織りを再現できる織り屋さんはないらしく、
目にするにも貴重な生地となってしまいました。

この美しさが世界から無くなってしまうことは
ただただ惜しい。
職人がいなくなり、技術が途絶えることで
美術品が失われるということは、
生地を見て感動したあの時間も、
一緒に永遠に失われてしまうということ。

そんなことも考えながら、
ただただ見入るばかりでした。
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